治山事業

　「治山事業」とは、「森林法」に定める「保安施設事業」および「地すべり等防止法」に基づいて行う「地すべり防止工事に関する事業」2つの事業で、国及び地方自治体が発注する公共事業として行われます。
　皆さんはキャンプなどで川遊びをした時、川に小さいダムのようなものが設置されているのを見たことはありませんか？あるいは、ハイキングの途中でふと見上げた山の斜面に、四角い格子がはめ込まれているのが目に入ったことはないでしょうか？これらはそれぞれ「治山ダム」「のり枠」というもので、それぞれ機能は異なりますが、「治山事業」によって、山の荒廃を防ぎ、森林を健全な状態に戻すために作られている場合があります。

　ところで、一口に山の荒廃といっても、渓流の荒廃、山肌（山腹）の荒廃、落石の危険地などなど、その種類・程度・原因は場所ごとにすべて異なります。効果的な対策を行うためには、現地で荒廃の状態をきちんと観察し、あわせて地形・地質・気象・植生といった様々な調査・解析を経たうえで、適切な判断を下す必要があります。

　私たちは、森林の状態をつぶさに「診療」し、文字通り「山を治す」ための「治療法」を提案する「山のドクター」として、治山事業にあたっています。

林道事業

　皆さんの中には、キャンプなどに行った際、険しい山道を車で通ったことがある方もいるのではないでしょうか？このような場所に通っている道路は、国道や県道のほかに、「林道」であることも多いです。

　林道は、林業事業者が森の手入れをするため、木を伐採・収穫するために使用するといった従来の目的に加え、ハイキングのような「保健休養」のため、また山奥にある町どうしをつなぐための社会インフラとしての機能も果たしています。林道は、山奥に作られるため、通常の道路と違い、急な斜面や、沢が入り組んだ場所に計画を求められることが多く、測量や設計のための専門的な技術・経験が必要となります。

　私たちは、林道の測量・設計のエキスパートとして、現地の地形や地質などを入念に調査し、それぞれの森林に適合した道づくりを心掛けています。

環境事業
（森林整備）

　皆さんの中には「里山林」といった言葉を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。かつての我が国では、人里近くに「里山林」が存在し、人々は薪や炭、キノコや果実などの「山の恵み」を得つつ、里山を利用するシカ・イノシシといった動物とも棲み分けながら、暮らしていました。

　しかしながら、社会構造の変化に伴い、これら里山林は放棄され荒廃し、緩衝帯が失われたことによるシカ・イノシシの人里への被害、つる植物やササ・タケの繁茂による樹木の衰退、人の目が行き届かなくなることによるゴミの不法投棄や治安への懸念など、様々な弊害をもたらしています。

　私たちは、このような荒廃した里山林を調査し、荒廃の原因を突き止め、環境を再生するための整備計画の立案も行っています。

許認可申請補助事業
（再生可能エネルギー支援）

　皆さんは、ハイキングの途中などで写真のような標識を見かけたことはありませんか？これは「保安林」を示す標識で、「森林のもつ公益的機能」を守ることを目的として、国や自治体が森林の経営や開発に規制を課すものです。

　保安林制度は、現在の我が国の豊かな森林資源の確保のために大きな役割を担ってきました。しかしながら、近年注目されている風力発電をはじめとする再生可能エネルギー事業などでは、森林の資源の有効活用のために、やむを得ず保安林内で事業を計画する場合があり、その際は「保安林解除申請」「保安林内作業許可申請」といった、各種許認可手続きが必要となります。手続きに当たっては森林への影響を極力抑えた開発計画が必要となり、また各種法令に基づいた多くの書類・図面の提出を求められます。したがって、先に述べた治山・林道といった森林土木に関する技術に加え、森林法などの法律に関する知識が必要になります。

　私たちは、これまでの業務で培った森林に関する知識・経験を基に、森林と共生可能な事業実施の支援を行います。